
競馬の税金はいくらかかるのか|一時所得の計算を具体例で理解する
競馬の税金はいくらかかるのか|一時所得の計算を具体例で理解する
前回は払戻金が「一時所得」になることを解説しました。今回は「では実際にいくら税金がかかるのか」を、具体的な数字を使って計算します。難しくはないので、ぜひ一緒に確認してみてください。
一時所得の計算式(おさらい)
一時所得 =(払戻金の合計 − 当たり馬券の購入額 − 特別控除50万円)× 1/2
3つのポイントを押さえておきましょう。
- 払戻金は「年間の合計額」で計算する(1レースごとではない)
- 差し引ける馬券代は「当たり馬券の購入額だけ」(外れ馬券は含めない)
- 特別控除は最大50万円(他の一時所得と合算して50万円)
ケース1:万馬券を1回当てた場合
100円の馬券が50,000円(500倍)になったケースです。
払戻金:50,000円
当たり馬券の購入額:100円
特別控除:500,000円
一時所得 =(50,000円 − 100円 − 500,000円)× 1/2
= -225,050円
計算結果がマイナス → 一時所得は0円
このケースでは税金はかかりません。 50,000円の払戻は特別控除50万円の範囲内に収まるんですね。
ケース2:年間を通じて複数回当てた場合
年間で以下の的中があったケースを考えてみましょう。
| 的中回 | 払戻金 | 当たり馬券代 |
|---|---|---|
| 1回目 | 80,000円 | 2,000円 |
| 2回目 | 150,000円 | 1,000円 |
| 3回目 | 400,000円 | 5,000円 |
| 合計 | 630,000円 | 8,000円 |
一時所得 =(630,000円 − 8,000円 − 500,000円)× 1/2
= 122,000円 × 1/2
= 61,000円
この61,000円が課税対象の一時所得です。ただしこれだけで税金が決まるわけではなく、給与所得など他の所得と合算して税率を決めるんですね。
所得税の速算表(国税庁 No.2260)
所得税は「超過累進課税」といって、課税所得が多いほど税率が上がる仕組みです。
| 課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」
税額 = 課税所得 × 税率 − 控除額で計算します。
ケース3:給与所得と合算するとどうなるか
給与年収500万円の会社員が、年間で一時所得61,000円(ケース2)を得た場合を計算します。
①給与所得を計算する
給与所得控除後の給与所得は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」で確認できます。年収500万円の場合の目安は約356万円です(給与所得控除144万円を差し引いた金額)。
②合計所得を計算する
合計所得 = 給与所得356万円 + 一時所得61,000円
= 約362万円
③課税所得を計算する
合計所得から基礎控除(48万円)・社会保険料控除などを差し引いて課税所得を求めます。ここでは基礎控除と社会保険料控除(年収の約14%・約70万円)のみで簡略計算します。
課税所得 ≈ 362万円 − 48万円 − 70万円 = 約244万円
④所得税を計算する
課税所得244万円は速算表の「195万円超〜330万円以下(税率10%)」に該当します。
所得税 = 244万円 × 10% − 97,500円 = 146,500円
一時所得がなかった場合と比べると、所得税はおおよそ 6,100円 増加します。
住民税も忘れずに
所得税とは別に住民税も課税されます。 住民税の税率は一律10%です。
今回のケースでは、課税対象の一時所得 61,000円 に対して10%がかかるため、住民税の増加額もおおよそ 6,100円 になります。
所得税(約6,100円)と住民税(約6,100円)を合わせると、ケース2の的中内容(年間払戻630,000円)で発生する追加税負担の合計目安は、およそ 12,200円程度 (所得税率10%の方の場合)です。
まとめ:結局いくら増えるのか?
ケース2(年間63万円の払戻)の場合、増える税金の合計は 12,200円 です。内訳は以下の通りです。
■ 増税額の内訳(ケース2の場合)
| 種類 | 計算式 | 増える金額 |
|---|---|---|
| 所得税 | 61,000円 × 10% | 6,100円 |
| 住民税 | 61,000円 × 10% | 6,100円 |
| 合計 | 12,200円 |
※年収500万円(所得税率10%)の会社員を想定。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 計算の基本 | (払戻合計 − 当たり馬券代 − 50万円)× 1/2 |
| 課税ゼロのライン | 年間払戻から当たり馬券代を引いた額が50万円以下なら課税なし |
| 税率は給与と合算 | 一時所得は給与所得に上乗せして税率が決まる |
| 住民税も発生する | 所得税とは別に住民税(一律10%)がかかる |
次回は「経費と申告義務」として、外れ馬券・交通費の扱いと、確定申告が必要になるボーダーラインを解説しますね。
※ この記事は国税庁の公式情報をもとに作成しています。個別の税務判断については税理士にご相談ください。
Martin
Python × 競馬。多変量解析で「トラックバイアス」を数値化し、真の期待値を自動算出。