
連敗中に買い方が崩れる理由|期待値プラスでも負けが続くときの考え方
連敗中に買い方が崩れる理由|期待値プラスでも負けが続くときの考え方
「EV1.3以上の馬だけ買っているのに、10連敗した」
これは手法が間違っているサインでしょうか。結論から言うと、ほとんどの場合、そうではありません。 期待値プラスの買い方をしていても、連敗は普通に起きます。問題は連敗そのものではなく、 連敗したときに「正しい行動を続けられるか」 なんですね。
連敗は異常ではない
まず確率の話をします。
サイコロを振って「6が出たら勝ち」というゲームがあるとします。勝率は約16.7%です。
10回連続で6以外が出る確率 = (5/6)^10 ≈ 16.2%
6回に1回当たるゲームで、10連敗する確率は約16%もあります。 100人が同じゲームをしたら、16人は10連敗するわけです。
これを競馬に置き換えてみましょう。
EV1.3の馬の想定勝率:25%
10戦全敗する確率:(0.75)^10 ≈ 5.6%
20戦全敗する確率:(0.75)^20 ≈ 0.3%
25%勝率の馬でも、10連敗は20回に1回くらいの頻度で起きます。「10連敗した=手法が間違っている」は早計なんですね。
連敗中に買い方が崩れる3つのパターン
では実際に何が起きているかというと、連敗のストレスが判断を歪めます。
パターン①:見送りレースに手を出す
本来は「EVが1.2以上の馬だけ買う」ルールを持っていたのに、連敗が続くと「そろそろ当たるはず」と根拠なくEV1.0以下のレースに参加し始めるんですね。これをギャンブラーの誤謬と呼びます。
コインを10回投げてすべて表だった
→ 「次は裏が出るはず」と感じる
これは誤りです。
次のコインは過去10回と無関係に50%の確率で表か裏です
競馬も同じです。前のレースで10回外れても、次のレースの期待値は変わりません。
パターン②:一発逆転で賭け金を増やす
前の記事で解説したプロスペクト理論の影響です。損失の痛みから早く抜け出したくて、賭け金を増やして取り返そうとします。
パターン③:手法そのものを疑って迷走する
「この方法は間違っているんじゃないか」と不安になり、根拠のない別の買い方を試し始める。結果的に何の一貫性もない買い方になるパターンです。
期待値プラスの確認方法
連敗が続いたとき、手法を疑う前に確認すべきことがあります。
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| EVの基準は守れているか | EV1.2以上という基準は変えていないか |
| 賭け金は固定されているか | 連敗後に増額していないか |
| 見送りレースを増やしていないか | 「そろそろ当たる」で追加購入していないか |
| 試行回数は十分か | 30〜50戦以上のデータで判断しているか |
手法の正しさを判断するには最低30〜50戦のデータが必要です。 10〜20戦の結果で手法を変えてしまうのは、サンプルが少なすぎるんですね。
「正しく負ける」という考え方
プロのポーカープレイヤーはよく「結果ではなく、意思決定の質で評価する」と言います。
期待値プラスの手を打ったのに負けた場合、その判断は正しかったことになります。逆に期待値マイナスの手を打って偶然勝っても、その判断は間違っていたということです。
競馬も同じ構造です。
EV1.3の馬を買った → 負けた
→ 判断は正しかった。ただ確率の分散が出ただけ
EV0.8の馬を買った → 当たった
→ 判断は間違っていた。たまたま運が良かっただけ
「正しい判断をして負ける」と「間違った判断をして勝つ」は、まったく別の話なんですね。短期の結果ではなく、判断の質を積み重ねることが長期収支のプラスにつながります。
連敗中のメンタルを維持する仕組み
理屈では分かっていても感情は揺れます。なので仕組みで対処します。
① 買い記録をつける 「EV・賭け金・結果」を記録しておくと、感情ではなくデータで自分の判断を評価できます。連敗中でも「基準通りに買えている」という確認が安心感につながるんですね。
② 判断基準を文書化しておく 「EV1.2以上しか買わない」「1レース500円固定」など、事前に決めたルールを書いておく。迷ったときに見返すためのものです。
③ 100戦単位で評価する 10戦・20戦の結果に一喜一憂しない。回収率は100戦以上のスパンで評価する習慣を持つことが重要です。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 連敗の確率 | 勝率25%の馬でも10連敗は普通に起きる |
| ギャンブラーの誤謬 | 「そろそろ当たる」は確率論的に誤り |
| 手法の評価基準 | 30〜50戦以上のデータで判断する |
| 正しい評価軸 | 結果ではなく、判断の質(EVを守れているか)で評価する |
| 仕組み化 | 記録・ルール文書化・100戦スパンの評価 |
期待値プラスの手法が機能するのは、長期間・一貫して実行し続けたときです。連敗中こそ手法を信じて続けられるかどうかが、最終的な収支を分けます。
※ 本記事は確率論・行動経済学の研究をもとに、競馬への応用として解説しています。
// このシリーズの全記事
- 01「取り返したい」が収支を壊す|プロスペクト理論と競馬の損失回避バイアス
- 02なぜ人気馬をつい買いたくなるのか|同調バイアスと競馬の過剰人気
- 03連敗中に買い方が崩れる理由|期待値プラスでも負けが続くときの考え方NOW
Martin
Python × 競馬。多変量解析で「トラックバイアス」を数値化し、真の期待値を自動算出。